特別寄稿 在サンパウロの県人会について考えたこと ④

日本ブラジル中央協会常務理事 桜井 悌司

◆「1県人会ではなく合同や道州単位、地方単位でプログラムを推進すること」

 5県共同の「屋台祭り」や九州8県等による「8県対抗文化祭」について前述したが、1県人会でイベントを組織するより、数県単位、道州単位、地方単位でイベントを組織したほうが、コストやマンパワーの面で節約になるし、収益も増えることが考えられる。例えば、ラーメンで有名な県が協力し、「全国味自慢ラーメン祭り」とかブラジル人の大好きな「全国名物焼きそば祭り」など知恵を絞ればアイデアが出てくるだろう。また、「フェイジョアーダ大会」を開催し、各県人会風のフェイジョアーダを開発・提供すれば、ブラジル人は大いに喜ぶことであろう。例えば、東北地方が集まって「郷土料理展」や「雪まつり展」等々多くのアイデアが出てくるであろう。日系コロニアの人々は、「サケピリーニャ」を開発するほど、創意工夫の精神に満ちあふれている。

◆「少なくとも5年毎に母県からミッションを派遣してもらうこと」

 県人会はいつまでも母県との繋がりを大切にしなければならないことは当然である。そのため毎年でも県知事等幹部の来泊を要望したいところである。しかしながら、県の財政事情もあるので、せめて県人会創設時からみて5年毎の節目の際には、県からの来泊を強く進言し、実行に移してもらうべきであろう。そのためには相互交流という観点から県人会からも訪日団を派遣することが望まれる。県側のミッション派遣のための予算要求もあるので、節目の年の2年前くらいに県人会の訪日団を派遣し、県に重要な周年時に来伯してもらうようにする。

◆「姉妹都市間交流をフルに活用すること」

 日本とブラジルの都道府県市町村間の姉妹都市提携件数は、57件で米国、中国、韓国、オーストラリア、カナダに次ぐ堂々第6位に位置する。残念なのは、2000年以降の締結案件が無いことであるが、交流関係の活性化は、県人会の活性化に繋がると考えるべきである。ブラジルとの姉妹都市交流を持っている都道府県は、下記表にある22県である。県人会と姉妹都市は必ずしも直接の関係はないかも知れないが、考慮に入れておくべきである。

 ブラジルとの姉妹都市交流は、日本ブラジル中央協会の連載エッセイ「ブラジルを理解するために」の連載93を参照のこと。

◆「留学生・研修生交流を強化すること」

 日本の若者の留学意欲が減少しつつあると言われているが、次代を担う若者の交流は極めて大切なことである。前述のように県費による留学生・研修生の交流は、今後とも継続、できれば強化して欲しいものである。日本や母県を訪問し、様々な体験をした若者は、必ずや県人会の将来のリーダーとして活動に参画してくれよう。日本の150の大学のホームページをチェックしたところ、ブラジルの大学と留学交流協定を持つ大学数は、57大学で、相手のブラジル大学数は、43大学、合計案件数は、116件である。どこまで活発に交流が行われているかはわからないが、これらの大学交流も県人会の活性化に繋げていけば、素晴らしいことである。下記にブラジルの大学と交流関係を持つ大学の所在県を記す。日本とブラジルとの大学間留学交流の詳細は、日本ブラジル中央協会の連載エッセイ「ブラジルを理解するために」の連載99を参照のこと。

◆「日本や母県との繋がりで物事を考えること」
 「過去ではなく、今とリンクしたプログラムを考えること」

 県人会活動とは直接結びつかないが、筆者も「大阪サンパウロ」姉妹都市協会」に関係している。同協会では、毎年「ポルトガル語スピーチコンテスト」を開催し、優勝者をサンパウロに派遣している。またサンパウロで開催される日本語スピーチコンテストの優秀者を日本に招聘している。協会は財政基盤が弱体なので、大阪市やエミレーツ航空の支援・協力を受けている。秋田県人会は、3年前から「本荘追分大会」を開催している。毎回80名くらいの参加者の中から選ばれた優勝者が、日本の「本荘追分大会」に参加する。2018年は、日系人ではないカリオカ娘が優勝し、8月の秋田での大会に参加するという。日本文化の広がりを感じさせる。沖縄県人会は、最強の県人会であるが、ウチナンチュウの世界的ネットワークを駆使して、「過去」ではなく、現在進行形の「今」プログラムを展開している。演歌でもなく民謡でもない人気バンドの「ビギン」のコンサートは、大成功であったと伝えられている。(つづく)

 【筆者略歴】桜井悌司

 1945年京都生まれ。1967年より2008年まで41年間ジェトロ勤務。メキシコ、チリ・サンテイアゴ所長、ミラノ所長、サンパウロ所長、展示事業部長、監事。2008年から2015年まで、大阪の関西外国語大学教授として、ラテンアメリカについて講義。現在、日本ブラジル中央協会常務理事、ラテンアメリカ協会理事、海外日系人協会評議員。

2018年5月29日付

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