環境と気候変動③ 世界的な水不足の原因は? 成田修吾

 世界的な水不足の原因は、豊かな生活を支えるために水の使用量が急増したことが、最も大きな要因である。特に、食糧を増産するための水消費は、50年前に比べて3倍増加しているのだ。

 さらに、途上国での工業化や生活の物質的な向上によって、水需要全体も50年前の3倍になっている。人口増加の2倍の割合で水消費が増えている。

◆今後の予測

 2050年に人口は90億人になると言われている。食糧生産や途上国の経済発展に伴って、ますます水需要が増加する。さらに温暖化により、世界各地の雨の降り方も大きく変化し、乾燥化が進むところや洪水により、かえって飲み水などが不足する地域が多くなってくる。25年には、世界人口の3分の2が水不足になると予測されている、と言われている。(第4次地球環境概況より)

◆世界から間接的に水をかき集めている日本

 こうした水不足を引き起こしている原因の大部分は、アメリカや欧州、日本などの先進国の水の大量消費である。近年では、インドなどの発展途上国が近代化したことも原因に含まれる。さらに大きな問題として、輸入に頼っている日本は、その生産に必要な水を間接的に消費していることになる。これを「仮想水」と呼ぶ。

 日本が輸入している大豆や小麦は100億トン、牛肉は150億トンの仮想水を輸入しているのと同じなのだ。日本の輸入品(農産物や工業製品)のために使われている仮想水は全部で約800億トンになり、日本の水使用量全体(約830億トン)とほぼ同じ量の水を海外で消費していることになる。

 前にも述べたように、日本で輸入された米、輸入された牛肉で作られた牛丼を1杯食べるということは、海外で使われた数トンの水を消費していることと同じなのである。私たちの普通の生活のために、想像以上に途上国の生活を破壊している。

 つまり、ブラジルで世界の食糧生産をすることは、それだけブラジルの生活環境を破壊していることにも通じているのだ、ということを知っておかなければならない。

 その分だけ、農業生産に消費されている水資源の枯渇を招いているという意味でもある。古代メソポタミア文明の破壊を思い出していただきたい。ノルデステ地方の乾燥地は、その歴史に重ねて考えてみることが大切だ。

◆できることから始めよう

 水は私たちが生きていく上で欠かすことができない。水が豊富な日本では、昔は自然が浄化できる範囲の活動だった。今はその範囲を超えてしまっている。日本の国民は一人一人が水の使い方を見直すことが必要になっている。ブラジルでも、先進国への食糧援助の道義的な生産活動で国を破壊し続け、この国に住む私たちもできることから始めなくては、子供たちへ引き継ぐ環境保全が間に合わなくなってくる。

 (1)水の危機(水を汚染し、ムダ使いしているのが自分であること)を知ること(2)徹底した節水、4R(やめる、減らす、再使用)が基本。風呂、洗たく、水洗トイレ、洗面、炊事、洗車、庭の水まきなどで水を大切にすること(3)できるだけ国産品を利用する(仮想水を減らすことにつながる)(4)台所などから油などを流さない(生活排水は海へと流れていく)。(つづく)

2017年4月21日付

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