環境・科学① 森林破壊、大罪犯し続けるブラジル 成田修吾

 1日付本紙にあった「大西洋岸森林の伐採増加」の記事を読んで驚いた。心底から残念でならない。ブラジルは2006年から10年にかけて、森林減少からの炭素排出を約5億トンも防いだことで世界からも高く評価されていた実績を知っているからだ。ルーラ大統領の時代だった。

 ブラジルはキリスト教国で、神イエスを信じる温厚・実直な国民だと信じていた。キリスト教で「犯してはならない七つの大罪」というのがある。キリスト教において罪の根源とされる七つの悪しき感情・欲望を指す言葉である。原語の通り訳すと「七つの死に至る罪」であり、「七つの罪源」とも言われる。一般的に、「傲慢」「嫉妬(ねたみ)」「憤怒」「怠惰」「強欲(貪欲)」「貪食」「邪淫(じゃいん)」の七つのことを言う。これは聖書に記されているものではなく、4世紀頃に神学者によって提示され、後にローマ教皇(カトリック教会)が取り入れたことによりキリスト教圏に広まり、現代に伝わることとなったものである。この度の報道のような森林破壊事件は、大自然が残した森林を伐採するという罪の意識もなく続けている事業家たちは、この七つの大罪を犯し続けていることに他ならない。

 しかしながら、このところ立て続けに起きている政治事件で、大統領の弾劾裁判があったりと、国民からの信頼が失墜している中央政府。その事情も理解できる。さらに、現大統領への司直の捜査が入るなど複数の国政統治者に政策不信が増すばかりである。私利私欲に走る不正行為で政策の正義性が失われた高級官僚の告発も続出し、果てには14年のサッカー・ワールドカップ時の施設建設費の収賄疑惑へ司直の捜査の手が入ったりしている。多国籍民族で成り立つブラジルで、私利私欲に走る傲慢な事業家の環境破壊の大罪は止まらなかくなってしまった。これを止める司直は不在なのである。

 森林伐採の報道にもあるバイア州、ミナス・ジェライス州、パラナ州、ピアウイ州では、環境監督局への捜査も行うべきではないのか。誰がこの大罪の責任を受けるというのだろうか。近い将来、必ずや国民一人一人にその責任が重くのしかかってくることは間違いない。

 今や毎年1・5倍ずつ増える森林伐採は、地球に残されている人類の財産を略奪していると言える。森林破壊とは、自然の回復力を超える樹木の伐採により森林が減少し、もしくは存在しなくなる状況を指している。つまり、建設的な保全計画が全くない破壊工作の森林伐採である。

 国連食糧農業機関 (FAO) の統計によれば、全世界の森林面積は1990年には40億7729万1000ヘクタールだったが、2005年には39億5202万5000ヘクタールに森林面積が減っている。すなわち、この間に1億2526万6000ヘクタールの森林が消滅したことになる。これは全世界の3・1%にあたる。 森林面積の変化は地域の差もあるが、東アジアは増加、ヨーロッパは微増。しかし、東南アジアやアフリカや南アメリカでは大きく減少しており、熱帯雨林の森林減少が地球規模で進行している。言い換えれば、人類の地球上に残された財産を人間が略奪して森林を消滅させていることになる。

 日本の記録では、森林の割合が国土の68・9%を占め、森林大国と言われる。森林大国として名高いカナダでも森林の比率は45・3%である。ただし、人口が多いため、一人当たりの森林蓄積量は世界平均の6分の1だという。

 森林伐採が進行すると、森林の保水力が失われる結果となり、土壌栄養分の流亡や洪水、土砂崩れを引き起こす。水源涵養機能の低下と呼ばれる現象だ。また、水質・大気浄化能力を低下させることになるし、二酸化炭素の固定機能の低下の影響が出る。結果、地球温暖化につながる。生態学的な観点から見た場合でも、陸上生態系の基盤となる森林を失うことで生態系自体の安定性を低下させ、森林で生きる動植物や昆虫の棲み処を奪うことになる。基本的かつ公共性の高い社会資本の喪失という側面があるため、途上国における森林破壊は国際的な経済格差拡大の原因の一つにもなっている。(つづく)

2017年6月27日付

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