環境2017(7) 増雨で拡大する水質汚染(1) 成田修吾

 米国大西洋沿岸の富栄養化により、2015年8月に藻類ブルームが異常発生した。

 気候変動によって降水量が増加すると、川や海に過剰な窒素が流入し、水質が大幅に低下するとする研究論文がこのほど、科学誌『サイエンス』に掲載された。水循環サイクルの強度が増すことによって、窒素の流入量が2100年までに20%近く増加すると予想している。

 人間は、農業や化石燃料の使用を通して窒素やリンを排出している。雨が降ると、こうした人間活動による窒素やリンが川や海に流入し、富栄養化が起こる(「有毒な藻の大繁殖、各地で増加のおそれ」)。

 富栄養化は、有害な藻類が大発生する「藻類ブルーム」を引き起こしたり、「デッドゾーン(死の海域)」と呼ばれる貧酸素水塊の原因となることで、川や海の生態系はもちろん、人間の健康や経済にも悪影響をおよぼす。米国周辺では現在、メキシコ湾、チェサピーク湾、フロリダ近海で、大きなデッドゾーンが確認されている(「メキシコ湾のデッドゾーン、最大規模に」)。

 研究者たちは今回、21種類の気候モデルを使って、気候変動がどのようにして富栄養化を引き起こし、水資源を脅かすかを予測した。

 それぞれのモデルに対し、3種類の気候シナリオと2種類の期間(2031~60年の近未来と2071~2100年の遠い未来)による予測を行ったところ、それらすべてにおいて窒素負荷が一貫して増加するとの結果が出た。なかでも、米国本土での窒素負荷の増加が最大になったのは、現在の温暖化のペースが今後も続くとする「現状推移」シナリオで遠い未来を予想した時だった。

 この条件下では、気候変動によって米国での降水パターンが変化する結果、今世紀末までに窒素による汚染が約20%増加し、中西部の穀倉地帯と北東部が最も大きな影響を受けるという。「現状推移」になるはずがないとの意見もあるが、カーネギー研究所の研究員で今回の論文の共著者であるアンナ・ミカラク氏は、その可能性は十分にあると考える。

 「これまでの道のりは『現状推移』シナリオのように見えます」とミカラク氏。「現実にならなければ良いとは思いますが、気候変動の緩和と管理に今から真剣に取り組まなければ、基本的にはこれが現実になるでしょう」(「空から地球を診断する」)。(NGニュース、つづく)

2017年10月19日付

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