環境2017(8) 増雨で拡大する水質汚染(2) 成田修吾

 温暖化の影響で、今後はますます極端な降水が増えることが予測される。

 気候変動が進めば、降水量は増えるとされている。ほかの研究チームによる最近の研究でも、気温が上昇すると大気により多くの水が保持されるようになり、従来よりはるかに激しい雨が降るようになると報告されている。

 米国国立大気研究センターの科学者アンドレアス・プライン氏は、「季節ごとの変動はあるものの、今後、米国の南西部は全体に乾燥化し、それ以外の地域は湿潤化すると予想されています」と語る。また、今後は「極端現象」と呼ばれる異常な気象現象による降雨が増加し、平均すると乾燥化傾向にある地域でも極端な降水が増えるという。

 このような状況では、河川や海への窒素の流入をこれ以上増やさないようにすることが大きな課題となる。研究者は、肥料の使用などによる窒素の流入量の3分の1を削減する必要があり、現在影響が出ている地域を管理するだけでは不十分だと報告している。

 米国環境保護局は現在、メキシコ湾に流入する窒素による悪影響を緩和するためには、ミシシッピー川・アチャファライア川流域からの窒素の流入量を1980~96年の水準から20%減らす必要があるとしている。しかし、予測される降水パターンの変化を考慮すると、同じ目標を達成するには窒素の流入量を62%削減する必要があるという(「グリーンスライムがバイカル湖で大発生、ロシア」)。

 今回の研究では米国に限定したモデルが使用されたが、深刻な影響が出ているインド、中国、東南アジアなどにも触れられている。これらの地域は持続的な人口増加によって急速に発展しているため、降水量の増加により窒素汚染が悪化するおそれは米国より高い。これらの現象は地球全体で大きく影響を受けることになる。

 カーネギー研究所の研究員であるアンナ・ミカラク氏は、世界各地の人口密集地では、すでにデッドゾーンや藻類ブルームが発生していると言う(「緑色の湖が3カ月で真っ赤に、ウルミア湖」)。 

 彼女は、これは世界的な問題であり、米国での新たな分析は米国以外で降水量のさらなる増加が予想される地域や窒素の流入量の多い地域について考察するきっかけになる、と考えている。

 「水はさまざまな目的に利用されます。あなたが水源の近くに住んでいなくても、水はあなたや、あなたが食べる物や、あなたの暮らしに影響を及ぼします。持続可能な水利用とは、単に、水の量が十分にあるということではなく、人々や動物が安全かつ健康的に水を利用できることなのです」(「気候変動、報告書が明かす5つの重大事実」)。(NGニュース、つづく)

2017年10月20日付

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