福島県復興セミナー㊤ 「原発に依存しない世界構築を」 

福島県復興セミナー㊤ 「原発に依存しない世界構築を」
講演する内堀知事

内堀知事が復興に向けた「挑戦」表明

 「原子力発電に依存しない世界を作ることが福島県民の願い」―。ブラジル福島県人会(永山八郎会長)創立100周年記念行事への出席のため来伯し、記念式典前日の21日午前11時からサンパウロ(聖)市ベラ・ビスタ区のジャパンハウス(JH)で開かれた「福島復興セミナー」で内堀雅雄福島県知事は、冒頭の言葉を強調。セミナーでは、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う原発事故後の現状などを説明し、「福島県の復興に向けて挑戦していきます」と表明した。

 約80人が出席したセミナーでは、野口泰在聖日本国総領事のあいさつの後、内堀知事が登壇。はじめに、県の復興に向けた世界中からの支援に感謝の気持ちを表した。

 パワーポイントによる画像を使用しての説明では、東日本大震災により津波及び県内の3基の原発が水素爆発したことで「福島の運命を劇的に変えた」と訴えた。

 福島県の現状については、3つのキーワードとして1つ目の「光と影」の「光」の部分について説明。原発の放射線被害の影響による「避難区域」が、震災直後の11年4月には県全体で12%だったものが、現在は3%以下に縮小したこと。また、6年かけて実施してきた「除染」の効果により、放射線量が世界の主要都市と変わらないレベルまで下がったとし、「(県内の)ほとんどの地域で安心して暮らせるようになった」という。

 県産の農産物についても、モニタリング検査により、米や海産物などは近年、2年連続で放射線量の基準を超えるものは無くなったとし、子供たちの学校給食もほぼ震災前と同じ形で県産の農産物を使用して実施できるようになったそうだ。

 そのほか、観光面では、温泉が日本のランキングで1位を取る温泉が多いことや、日本酒についても震災後の12年から16年にかけて全国新酒鑑評会で5年連続金賞を受賞するなどしている事実を説明した。

 海外への農産物輸出は、震災翌年の12年にはほぼゼロの状態だったものが16年は66トンになり、今年8月にはマレーシアに100トン以上の福島米を輸出できたことや、ベトナムへも福島県産の桃や梨が輸出されるなど、17年の輸出量が昨年の倍以上の150トン超が見込まれているという。内堀知事は「努力を続けることで、世界の理解を得ることができる」と手応えを感じているようだ。

 一方、「影」の部分として、現在も避難者数が5万4000人以上いるとし、震災前は200万人強居たという県内の人口が、現在は180万人まで減少。住民の帰還率が80%の所もある一方で、2%しか戻れていない場所もあるとし、「(県民が)元の生活を取り戻すには、まだ長い時間がかかる」と見ている。

 また、原発事故は「世界でも例がない事故」であり、「元の生活に戻るにはまだ30年~40年はかかる」とし、今後の廃炉対策は「日本全体の問題」として重くのしかかっている。

 農産物についても風評被害により価格が低く、「市場で高値で扱ってもらえず、敬遠されがちなのが現状」だ。さらに、観光客も震災前の92%しか回復しておらず、海外からの旅行客(インバウンド)は日本全国では246%という好景気の中、福島県では82%と低下。「重い課題の一つ」になっているという。

 「影を薄め、光を増やす」2つ目のキーワードとして、内堀知事は「挑戦」を挙げる。県内での新産業の創出として、(1)再生可能エネルギー(再エネ)と(2)ロボット産業について説明。(1)は、地熱、風力、メガソーラー(太陽熱)など、原発に頼らない再エネで自給していくことを2040年に達成するという目標を掲げている。

 (2)は日本で唯一の施設として、県内の44ヘクタールの土地に「ロボット・テスト・フィールド」を設置。ドローン(無人機)などの航空機、災害時のロボットによる模擬工場、人工市街地、河川の洪水などによる救出モデルなど、各種テストが実施できるようになっているという。
 内堀知事はこうした新産業創出での「挑戦」により、2020年に「ワールド・ロボット・サミット」の開催を目標にしている。(つづく)

2017年10月25日付

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