福島県復興セミナー㊦ 震災経験踏まえ将来向けた議論を

福島県復興セミナー㊦ 震災経験踏まえ将来向けた議論を
セミナーの様子

 21日に行われた「福島復興セミナー」で内堀雅雄福島県知事は、復興に向けた3つ目のキーワードとして「福島2020」を挙げる。

 東日本大震災による津波・原発事故から10年目の節目を迎える2020年までの具体的目標として、(1)県産農産物の安全品質向上を目指し、20年の東京五輪で世界各国の選手に福島の農産品を食べてもらうこと(2)福島県双葉郡浪江町にある水素エネルギー施設を世界最大規模にし、東京都で同エネルギーを使用してもらうこと(3)震災前からあったサッカー・ナショナル・トレーニングセンター「Jヴィレッジ」を東京五輪の合宿所にすることを紹介した。

 また、20年の東京五輪で野球・ソフトボールの開幕試合が福島県で開催されることが今年3月に決定したとし、「福島県で開催されることで大きなメッセージになる。課題もあるが、10年間(復興を)頑張ってきたことを世界に発信したい」と内堀知事は意気込む。

 セミナーの締めくくりで同知事は、「世界に羽ばたく若者」として、県内富岡町にあった中学高校一貫校の富岡高校及び富岡第一中学のバドミントン部の取り組みを紹介。同校のバドミントン部はトップレベルだったが、原発被害による全町避難で同校は会津地方への移転を余儀なくされ、練習場の確保も難しい状況に追いやられたという。15年には、新設された「ふたば未来学園」に同部が引き継がれたが、そうした中で「自分たちが活躍することで町に元気になってもらいたい」との思いで、今年7月に行われたインターハイ(全国高等学校総合体育大会)では団体で男女ともにアベック優勝を果たし、6種目のうち5種目で優勝を獲得。20年の東京五輪に向けて福島県民の熱い期待がかけられているそうだ。

 内堀知事は「一人一人が挑戦し努力を続ければ、必ず明るい未来ができると信じています。福島県の復興に向けて、これからも挑戦していきます」と強調した。

◆質疑応答

 セミナー後の質疑応答では、会場から「除染」についての詳細説明を求める声があった。内堀知事は、放射線被害地域が風向きによって変わるとした上で、除染作業についてはアスファルト道路を削ったり、桃などの樹木の枝1本1本まで事細かく実施し、この6年間でほぼ作業が完了したことを説明。しかし、放射線廃棄物の移転を巡って移転先の町の同意を得ることが困難だったことなどにも触れ、同知事からは「原発事故による復興がどれだけ長い時間が必要であるかを実感した」との率直な声も聞かれた。

 復興にかかった経費と日本政府からの補助金額の質問については、震災前の福島県の年間予算が9000億円だったことに対し、震災後は約2兆円に膨れ上がり、震災後の6年間で計12兆円を上回る予算になったという。また、年間予算2兆円のうち、7、8割が日本政府からの給付金であるとし、東京電力からの賠償金及び廃炉対策費などで10兆円を上回る経費も計上されたそうだ。

 最後に、日本国内で再稼働している原発もある中、原発の必要性の是非を問う会場からの質問に対して内堀知事は、「福島県の立場」として「世界でも例のない被害を受け、現在進行形で苦しんでいる中、県内に10基ある原発をすべて廃炉にし、原子力に依存しない世界を作ることが福島県の願い」と力説した。

 一方、日本全体の国会での議論として、与党の自民党及び公明党は「原発を基幹電源として維持する方向」とし、原発の安全基準委員会が認めたものは再稼働させる動きがあることを説明。また、野党側では2030年までに「原発をゼロ」にする構想があるそうだが、内堀知事は「具体策がないことを懸念している」とし、「我々日本国民にとって、2011年の(震災による原発事故被害の)経験を踏まえて今後はどうするのか、真剣な議論を行っていくことが日本の将来にとって大切なこと」と強調し、締めくくった。(おわり)

2017年10月26日付

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