【座談会】第1回「ブラジル社会に日系コロニアは必要か?」②

  木多 喜八郎(2世)
 今回座談会に参加させていただきましたが、皆さんのご意見をよく聞いて勉強しながら、日系社会の取り組みについて考えていきたいと思っています。サンパウロ新聞がこのような機会を設けてくださって感謝しています。私たちは文協として皆さんのご意見をお聞きし、それを貴重な指針として受け取り、そこから文協がどうあるべきかという部分に使用させていただきたいと思います。

 ブラジル社会において日系社会が今後発展していくには、文協だけでなく日系社会すべてがその方向に向かっていかなくてはならないと強く感じておりますので、皆さんと共に頑張っていきたいと思っております。今日このように日系社会のリーダーが一堂に会し、日系コロニアの将来の問題に取り組んでいくことは素晴らしいことだと思っております。

  山田 彦次(1世)
 本日のテーマは非常に大きなものです。このテーマを議論する前に、ブラジルの中の日系社会というものはどういうものなのか、という議論を進め、その中で「日系社会は必要なのか」と考えていくべきではないでしょうか。
 私は長い間、県人会の運営に携わってきましたが、県人会そのものについて言いますと、恐らくこのままいけば県人会をはじめ日系団体はなくなってしまうのではないか、という危機感を持っております。それならばどのように守っていったらよいのか、会長になってから三十数年間ずっと考えてきたテーマですが、なかなかこれという結論が出ていません。

 ブラジル以外の海外の国において日系社会が存続していくノウハウを探してみたり、ブラジルにおける中国人社会や韓国人社会との比較研究などをしていかなければならないと思っていますが、結論が出ていないというのが現状です。

 今日皆さんの意見を聞きながら、今後の県人会活動をどのように行っていけばブラジル社会に役立つのか、あるいは日本のために県人会がどういうふうに影響していくのか、そんなことを考えながら私たちの子弟を育てていかなければならないと思いました。
 また、ブラジルで生まれた方々が民族性をどの程度感じながら、「どうしたらブラジル社会、日系社会、そして日本の社会の中で色々な経験ができるのか」というような責任ある考えかたができるようになるだろうか、と常に考えています。一番大きな問題は、我々1世が、そうした光り輝く誇り高い日系人を育て切れなかったことだと責任を感じております。

 

  諸川 有朋(2世)

 

 移民後100年続いてきた間に日本人同士がコロニアを形成し、助け合ったおかげで日系社会が続いてきたことを考えると、日系コロニアは今も必要ということになります。しかし、混血化が進んで4世、5世の時代になると、日本文化の継承がどんどん薄まっていき、「コロニア」という言葉自体がなくなる可能性もあるのではないでしょうか。
 今から30年、50年したら誰が日系人なのかも区別が付かないような時代になっているだろうと思います。コロニアの象徴的なものは県人会であり、山田会長から県人会のために必死になっているというお話もありましたが、1世の方々が一生懸命日本の文化を守り通していこうという思いでやってこられている。

 そのためにも、やはりどこかで守り、どこかで変えて、どこかで捨てていく選択を時代に合わせて考えていく必要があると思います。数十年先の視点で見ると、3世や4世の時代になったときに県人会もどうなっていくのか分かりませんが、諸川さんがおっしゃったように日系社会が残せるものは教育しかないんじゃないかと思います。
 例えば、ただ日本的な建物を建てるだけでは、その中に入る人たちが我々の日系人の誇りや精神を理解していなければ意味がありません。ですから、日系社会が教育を通して日本の文化を後世に伝えていくことが大切です。しかもそれは日系人だけを対象にするのではなく、ブラジル人に対しても言えることです。

 日本の教育の中には道徳があり、倫理観があり、優れた日本人としての資質が含まれています。そのような学校を作っていくことで、将来もしもコロニアがなくなったとしても、次の世代の人たちに「この学校は日本人の素晴らしい理念により作られたものなんだ」ということが伝われば、将来日本が困ったときにそういう世代の人たちが日本に手を差し伸べたり、または友好の絆を強めてくれるのではないかと思っています。(つづく、文責編集部)

写真:木多喜八郎さん、山田彦次さん(上 左から)
写真:諸川有朋さん、石田光正さん(下 左から)

2010年2月4日付

 私が大切だと思うのは教育についてです。私たちは何をするべきかということを考えますと、家庭の中で日本的な良い文化を身につけた、良いブラジル人を育てるということに尽きると思います。そして、家庭で教えることのできないことを、私たちが団体で指導することが必要になってくるのです。
 ブラジル国内には日本語センターの日本語教師が約1千人、学校が約300校あります。しかし、良いブラジル人を形成するところに目を向けている学校は非常に少ないんです。日本語を通して日本の良い文化を身につけ、良いブラジル人を育てることが私たちの目的です。

 ですから、私は幼少期における教育が大切だと思っています。クリチーバの日本語学校では、幼い子どもたちに対して日本の伝統的な精神を教えています。学校でも「義」や「人情」などの、日本の良い道徳を教えることが大切です。ブラジルの政治や様々なところを見ていても、そういった部分が欠けていますので、ブラジル社会に対しても役立つことになるんです。
 その教育を続けるためにも、日系コロニアは必要になってきます。現在、3世や4世の人たちが日本語の先生になろうと22人の方が講習を受けています。今後100年間で、私たちがコロニアで何を実質的にやっていくべきか。ブラジル社会のためになる人材をいかに育てていくべきか?

 私たちは今後100年も生きられませんが、日本人のフィロゾフィーを残していくことは可能です。私たちは地道に小さい子どもたちに日本の良い部分を教えていくことが義務だと言えるでしょう。私たちが今後の100年を考える場合には、自分の暇を割いてでも日本の精神を継承していく必要があります。もっとお金と規模を費やして、子どもたちが日本のいい部分を身につけられるようにさせてあげることがブラジル社会のためになり、このコロニアが発展していく道でもあるのです。

 石田 光正(1世)

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