第59回ジャブチ賞が決定 料理分野でヤノマミ族キノコ書籍が受賞 調査した石川氏と時本氏らが喜びの声

第59回ジャブチ賞が決定 料理分野でヤノマミ族キノコ書籍が受賞 調査した石川氏と時本氏らが喜びの声
ジャブチ賞の受賞が決まった、ヤノマミ族の食用キノコに関する書籍
第59回ジャブチ賞が決定 料理分野でヤノマミ族キノコ書籍が受賞 調査した石川氏と時本氏らが喜びの声
2015年7月にアワリス地方に入った調査団一行(石川氏は後列中央で時本氏は後列右、時本氏提供写真)

 ブラジルの出版会で最も権威ある賞の一つ「第59回ジャブチ賞」が10月31日に発表され、Gastoronomia(料理、美食学)の分野で、ヤノマミ族の食用キノコに関する書籍「Ana Amopo: Cogumelos – Enciclopedia dos Alimentos Yanomami(Sanoma)」の受賞が決定した。同書籍にまとめられた調査プロジェクトには、ブラジル国立アマゾン研究所(INPA)の研究員石川・カズエ・ノエミア氏(45、3世)と、鳥取県の(財)日本きのこセンター菌蕈(きんじん)研究所の名誉研究員・時本景亮(ときもと・けいすけ)氏(72、兵庫)らが参加している。

 同書籍は、ブラジルのNGO「ISA」(Instituto Socioambiental、社会環境研究所)とヤノマミ族のNGO「HAY」(Hutukara Associa鈬o Yanomami)が出版。石川、時本の2氏に加え、ミナス・ジェライス連邦大学(UFMG)、サンパウロ州立植物学研究所、サンパウロ連邦教育科学技術院(IFSP)の研究者らや料理人のアレックス・アタラ氏の協力もあり、専門分野も国や民族の枠も越えた共同研究の結晶だ。

 調査の対象となったのは、ブラジル北西部、ベネズエラとの国境付近、ロライマ州アワリス地方に住む、先住民ヤノマミ族のサノマ語を話すグループが食しているキノコ。同書籍には、キノコの種属と発生時期、サノマグループの農業体系とキノコの関係、料理法などが写真と共にまとめられている。

 電話取材に応じた石川氏によると、ヤノマミ族が経験的に持つ知識体系と科学的アプローチの両方がまとめられていることが評価されたとし、「もとの民族の言葉を大事にする」という方針の下、同書籍がポルトガル語とサノマ語の両語で書かれたことも今回の受賞につながったという。

 石川氏と時本氏の出会いは、石川氏が北海道大学の博士課程の学生だった頃まで遡(さかのぼ)り、両氏は19年来の付き合い。時本氏の初来伯は2013年頃で、INPAを訪れた他、ブラジリア市やパラナ州イビポラン市で食用キノコを栽培する日系人の農家も訪問している。15年7月には、日本人として初めてサノマグループの村に足を踏み入れ、共同研究者らと一緒に調査活動を行った。

 キノコを安定的に発生させる方法や、マンジョカ芋の焼き畑にキノコが発生する仕組み、季節ごとの発生種の相違の考察などで、時本氏の研究者としての知識と経験が大きくプロジェクトに貢献したという。また、サンプルを持ち帰り、15種のキノコのDNA分析や学名の同定をするなどした石川氏は、「あそこで時本先生が(キノコの)乾燥不足を指摘していなかったら失敗していた」とも振り返った。

 電話取材に応じた時本氏は、「(ジャブチ賞は)大変な賞だと聞いて喜んでいるところです」と語り、「ブラジルは資源が豊かで、日本とは逆。それを有効に使って日本もブラジルも良くなるように協力をしていけたら良いと思います。アマゾンはまだわからないことがたくさんあります。日本の研究者が協力できることもいっぱいあるはずです」と、今後の日伯の研究協力にも期待を寄せていた。

 同書籍の発行部数はわずか1500部で非売品だが、今回の受賞を受けて重版か改訂を検討中だという。また、石川氏は今後の活動に関して、国内外へのヤノマミ族の食用キノコの普及に加え、日系食用キノコ栽培農家との連携も示唆し、一層意欲的な姿勢を見せていた。

2017年11月17日付

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