経産省主催日系人向け就職説明会 正規社員として日本で長期雇用

経産省主催日系人向け就職説明会
会場の様子。興味がある各社のブースで説明を受ける参加者たち

人口減で日本の物作り維持が困難に

 日本の経済産業省主催の日系人向けの就職説明会が19、21日にサンパウロ(聖)市、20日にパラナ州マリンガ市でそれぞれ行われた。説明会には日本各地の素材製造系の企業7社、運送系企業1社となる計8社が参加。派遣ではなく、企業から直接雇用されるという近年では珍しい雇用形態が注目を集めた。会場には非日系人も説明を聞きに訪れ、平日にも関わらず19日の聖市会場には、約80人が説明会に参加した。

 今回の説明会開催に関し、経済産業省の製造産業局素形材産業室の岡本武史室長補佐に話を聞くと、「日本の人口減少が激しく、働ける若い層が加速度的に減っている。特にもの作り、製造業のなり手がおらず、日本のもの作りを維持するのが難しくなっている」と現状を説明した。「そこで日系ブラジル人に来てもらい、一緒に働いてもらおうということになった」と開催経緯を話した。説明会の特徴として「短期間の出稼ぎではなく、正規職員として勤務し、しっかり長期間働いてもらうこと。その場で面接もできること」という点を挙げた。

 説明会には、北は北海道、南は広島までの素材製造系企業7社と運送系企業1社計8社が参加。参加した各企業の担当者らに話を聞くと、人手不足は深刻で、募集をかけても応募がない、就業しても定着率が低いなどの声が上がった。また、人材確保のために参加したというよりは、事業拡大のため、さらに専門的な知識を持った技術者を求めて参加したという企業もあった。

 鋳造設備を行う愛知県の新東工業株式会社や、輸送用機器の製造を行う同県のDOWAサーモテック株式会社は共に技術者を求めて参加した。両企業では日本人職員の下につき働いてもらうのではなく、上に立って働ける人材を探しており、新東工業では「世界を飛び回るスーパーバイザーの役割をこなせる人材」、DOWA社では「一人で顧客の元へ行けるような人材」が求められた。

 DOWA社の金子将司企画室副部長は「もしかしたら良い人材は見つからないという不安もあったが、予期せず多くの人材が見つかった。技術的な分野に関しては、今後すり合わせていきたい」と笑顔を見せた。同社の説明を聞き、その後面接を行った日系3世の男性は「設備がすごく、大きな会社で驚いた。エンジニアをしているので、その技術を生かして同社で働けたら」と希望を述べた。

 8社中、唯一の運送業者となったのは広島県の株式会社ムロオ。山下俊一郎社長の話では、運送業界でも人手不足は問題となっており、廃業してしまう企業も中にはあるという。しかし、同社においては雇用人数は増加傾向にあり、昨年の雇用人数は約400人。また、大学新卒内定者のうち、半分は外国籍だったといい、関連会社では社長をしている人もいるという。

 日本語に関しては日常会話ができれば十分だとし、「今はポルトガル語で指示してくれる機械もある。日本に来てから覚えてもらえれば」と話した。参加者の印象は「意欲が高い人が多い」と述べ、「日本人にはない熱意を感じた」と感心した様子だった。

 各企業のほとんどで既に日系伯国人を含む外国籍の社員が働いており、リーマンショックから立ち直って以降は日系人就労者の数は増えているという。石川県の小林製作所の小林靖典代表は「一緒に長く働いてもらいたい。最終的には日本に住んで、日本国籍を取得してもらえたら」と話した。

 会場を訪れた参加者の中には、現在無職という人が目立った。ある40代の2世の男性はエンジニアをしていたが、解雇された後、1年以上仕事に就けていないという。「今、ブラジルで仕事を見つけるのはすごく難しい。日本で働いた経験もあるので、働き口があるなら日本へ行こうと思った」と説明会参加の理由を話した。

 違う50代後半の2世の男性は「ブラジルの景気が良くないことに加え、政治が不安定。この先、年金制度が変わる可能性がある。それなら日本へ行ったほうが良いと思い、とりあえず話を聞きに来た」と政治の混乱を理由に挙げた。

 3世の男性は「派遣では生活が安定しない。自分のように日本で生活していこうと考える人には、直接雇用してくれる企業が集まる今回の説明会はとても良いと思う」と述べ、説明会の開催を喜んだ。

2017年5月31日付

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