買い物に挑戦 中妻 由紀

買い物に挑戦 中妻 由紀
バイア州シャッパーダ・ジアマンチナにあるモロ・ド・パイ・イナシオで

 今では買い物を楽しんでいる私だが、最初のうちは店に入るのも怖かった。特に服を買う時。

 ショッピングセンターの服は高いので、私はもっと庶民的な路面店で服を探すのだが、入り難い店の多いこと。店の前に、大抵はお洒落で真顔で鋭い目つきをした女性が突っ立っているのだ。すごく近寄りがたい。いつも笑顔を絶やさない日本の店員たちとは全然雰囲気が違う。

 服屋に限らず、こちらの接客業の人たちは大抵真顔で働いている。ときどき、にこにこしている人を見かけるが、少数派である。

 日本でブラジル標準の接客をしたら、「無愛想だ。」とクレームが付きそうだ。しかし、他の国へ旅行した時も店員はぶっきらぼうだったから、日本の方が異常なのかもしれない。

 店員の鋭い目つきに負けず、勇気を出して店に入ってみると、すかさずその店員が寄ってきて、「何かお探しですか。」と積極的。日本では、お客さんを放置するというか、自由に見させておく店も沢山あるが、こちらの店員は非常に積極的だ。

 「ジャケットを探しています。」と言うと、店中のジャケットを片っ端から持ってきてくれ、靴やズボンまで沢山持ってくる。いらないと言っても、「とりあえず着てみて」と試着室に押し込んでくる。余計なものは買わないぞ、と思っていても、着てみると欲しくなっちゃうんだよなぁ…。

 でも、店員が積極的なのはここまでで、試着したからといって「買え」というプレッシャーをかけてくる店員はいない。日本ではこれが嫌で試着するのを躊躇することも多かったが、こちらでは「気に入ったらどうぞ。」くらいにあっさりしている。おかげで、思う存分試着して本当に気に入ったものだけを買える。

 それに、はじめは一見不愛想に見える店員たちだが、蓋を開けてみると親切にしてくれる人が多い。試着室に水を持ってきてくれたり、お菓子をくれたり、間を開けて再来店したのに前回買った物や私の好みを覚えてくれていたり。フェスタ・ジュニーナのパーティに招待してもらったことまであった。

 決して、私が上客だからということが理由ではない。そもそも、単価の安い店しか行かないし、そこでもセール品を狙って買うし、安い物をせいぜい1、2着しか買わない。

 どちらかというとお金にならない客だ。「店員と客」という関係性によるものではなく、「人と人」として優しくしてくれている。マニュアル通りの完璧な接客より、ずっと嬉しいものだ。

中妻 由紀

2016年12月20日付け

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