【移民104周年】50周年を迎える コロニア・ピニャール

「コロニアピニャールの40年」に加筆修正

◆入植50周年に向けて

福井県の移住者たちが開拓した聖州サンミゲル・アルカンジョ市のコロニア・ピニャール(福井村)が今年で入植50周年を迎え、8月5日の50周年記念式典では、同地に建設中の福井村体育館の落成式も行われる。

同体育館は母県より入植50周年を祝して建設費用の補助がなされたもので、式典当日には西川一誠福井県知事、西村正日伯友好協会理事長のほか、一般の県民を含む約30人の訪伯慶祝団が訪れる予定。

福井県とは毎年研修生の受け入れを相互に行っており、農業関係だけではなく日本語学校やシルバー・バレーなど教育・文化面での交流も盛んに行われている。

同村では50周年を記念した記念誌の作成も行っており、山下治50周年記念式典実行委員長と徳久俊行記念誌編集長は「現在の移住地の状況を重視したものにしたい」と意気込んでいる。

◆福井村の成り立ち

同村は戦後、日本人の移住再開により移住振興会社(現・国際協力機構)が伯国各地に造成した移住地の一つ。当時の宮本由太郎福井県人会会長が日本移民  周年の記念事業として、ブラジル福井村を建設したいと進言し母県の賛同を得たことが始まりで、1962年12月に3家族14人が初めて同地に入植し開拓営農を行った。その後、南伯農協中央会の企画による第2ピニャールが隣接地に造成され、双方合わせた村づくりが推進された。これまで母県からは県人入植者に対し、土地代金の一部補助、電気の導入、会館及び日本語教師宅建設などの援助がなされている。

◆ピニャールの教育
現在、福井村では26家族の福井県人が暮らしており、母県との絆(きずな)を次世代へと託そうと、日本語をはじめ県人子弟の後継者の育成に励んでいる。2008年には母県から、福井村の子どもたちが日本の教育を学び、母県との友好の懸け橋になってもらいたいと、700冊以上の教科書や児童書などが送られている。同村にはコロニアきっての青年図書館があり、所蔵する日本語図書は7500冊、映像資料も2000本あり、日本語を学習する環境は抜群だ。宿泊施設も兼ねており、聖南西地域の日本語生徒らの林間学校や大学生などが合宿などに使用している。

同地に97年に開校したコロニア・ピニャール日本語モデル校は12年3月現在、36人(幼稚園含む)の生徒がおり、教師5人(非常勤音楽教師含む)が教えている。クラスは12クラスあり、授業形態は超複式(個別)。月謝は130レアルで、生徒は週5日(8時間)の授業を受けている。経営は文協のほか父兄会などが協力して行っており、6月のフェスタ・ジュニーナや11月の日本祭りをはじめ多くの学校行事がある。さらには、福井県坂井市高椋(たかぼこ)小学校と作品交換などで交流している。

◆ブドウの一大産地
08年には日本移民100周年記念として、移住地の入口に高さ9メートル、幅10メートルもある大鳥居が完成。加えて、州道から移住地へと続く6300メートルがコンクリート舗装され、同地の名産品でもあるブドウの輸送など物流の利便性が向上した。

サンミゲル・アルカンジョ市のブドウは世界的にも有名で、福井村の故平松薫技師や羽場久夫技師、川上一夫技師の献身的な指導が実り、ヨーロッパ市場にも輸出される高品質のブドウが生産されるようになった。

63年に南伯農業協同組合中央会は同村の入植者全員を組合員として加入させ、開拓と営農指導に当たった。70年には南伯農業協同組合を創立し、電話の架 設など村づくりの一翼を担った。南伯農協中央会は94年に解散したが、現在の下地を作った唐沢正義拓殖部長、中沢源一郎理事長(いずれも当時)、富森敏雄 氏らの功績は大きい。山下氏によると現在、移住地内組合員は200家族だという。

また、3月に行われている同市の「ブドウ祭り・農産品展示会」では、ブドウをはじめ果物や野菜の展示販売のほか、ブドウ踏み体験やブドウ園の見学なども行われ、毎年多くの見物客が訪れている。

同村の主産物はブドウだが、柿、ビワ、ポンカン、アテモヤ等も栽培されており、生産量は年間約100万箱6000トン。

◆これからの福井村
山下氏は最近の10年を振り返り「ブドウの値下がりが止まらずに、村に元気がない」と振り返る。現在、ブドウの生産は北伯地域の農家が成功を収めてお り、同村のブドウは以前ほど値が付かない。また、肥料などの値上がりなどもあり、ブドウ生産は採算が合わない。さらに50~60代のリーダー格が日本に出 稼ぎに行くために、「村内で元気がある農家は5分の1程度だ」という。

しかし、組合の敷地内に生産物を梱包する工場が州や郡の補助などで今年中には完成する予定で、山下氏は「皆で利用することで販売も上向くだろう」と期待を込める。

さらに、同村の周辺の子どもの数は増えており、州立高校の教室も足りないため校舎を増設している。「朝夕はバスで生徒を送迎するため、それはもうにぎやかだ」という。ブドウの生産は縮小しつつあるが、子どもたちに望みを託して、これからの発展を期待した。

2012年6月23日付

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