第1回日伯学術セミナー 70人の医療関係者らが出席

SC病院と筑波大の交流強化を目的に
石川理事長(左から4人目)と当日の講演者ら

SC病院と筑波大の交流強化を目的に

第1回日伯学術セミナー
出席した医療関係者
 サンタ・クルス病院(石川レナト理事長)と筑波大学(永田恭介学長)、サンパウロ大学医学部(FMUSP)、JSPS(日本学術振興会)の共催による「第1回日伯学術セミナー」が、9日午後1時からサンパウロ市セルケイラ・セーザル区のFMUSP会議場で行われた。同セミナーの開催は、同病院と筑波大学間で昨年9月に結んだ協定に基づき、医療分野と科学分野の知識と情報交換の強化を目的にしたもの。当日は同大学の永田学長と同大学附属病院の松村明院長を日本から迎え、FMUSPのマノエル・ヤコブセン教授とアルイジオ・セグラード教授、USP法学部卒の二宮正人教授ら5人が講演を行った。会場には在サンパウロ日本国総領事館の中前隆博総領事をはじめ、当地の医療関係者ら約70人が来場した。

 開会に先立ち、FMUSPの理事やサンタ・クルス病院の石川理事長らがあいさつし、その後、学術セミナーの開始となった。はじめに二宮氏が「日本とブラジルの国際関係」と題した講演を行い、日本人移民の歴史や、それに付随した日伯の交流の歴史を述べた。

 続いて、筑波大学の永田学長が「ウイルス感染病のコントロール」と題し、ウイルスをどのように調査し、上手く応用していくかの講演を行った。永田学長はウイルスを調査することによって、その仕組みや一般の生物の細胞について分かると説明。種類によってはウイルス病を制圧することや、ガン治療などに有効になり得るウイルスがあるとし、その言葉のイメージとは違ったウイルスの使い方を紹介した。

 次に、ジカウイルスに対し、どのように対応するかを説明した。ジカウイルスはウガンダの猿から発生。北米から南米、北ヨーロッパへと広がり、その後、ブラジルやカリブ海各国、インドなどのアジアの国々、アフリカ諸国で症例が多く発生したと永田学長は話した。ウイルスは主に蚊によって人へ媒介されるが、どのように蚊へ運ばれるかの経路はいまだ不明だという。

 永田学長は1950年代の日本には現在よりも多くの蚊が生息していたこと、衛生環境の改善で次第に蚊が減少したことを例に挙げ、それはジカウイルスの拡大を防ぐことにも生かせるとした。環境の整備を行えば、15年から20年後にはジカの心配はなくなるだろうとしたが、「それは行政の仕事。我々はそんなに待つことはできない」と話し、薬の開発が進められていることにも言及。ジカウイルスの立体構造が分かれば、どの化合物を用いれば良いかなど、コンピューター上での計算が現在は可能だとし、その中で『ネイチャー』誌で3月に発表された論文が特効薬開発に生かせるのではないか、とした。

 最後に筑波大学が世界の国際的な大学ランキングで17位(日本国内では2位)に入ったこと、英語でのみ行われている授業があることなどを紹介。各分野で「まったく新しいタイプの調査を進めている」とし、革新的な取り組みをしていると述べた。

 休憩後のアルイジオ教授の講演に続き、筑波大学付属病院の松村院長が陽子線治療についての講演を行った。陽子線は放射線の一種でガン治療に用いられている。同病院は83年に陽子線治療センターを設立。日本での陽子線治療の先駆者として、これまでに約5000件の症例の治療に関わってきた。現在、世界各国で陽子線治療は導入されているが、南米で取り入れている国はまだないという。

 松村院長によると、陽子線の特徴は目標のみに照射することが可能だということ。通常の放射線は目標を越えて照射してしまうため、正常な器官に副作用をもたらす可能性があるが、陽子線は目標に当たると停止するため悪影響がないそうだ。加えて、急性及び慢性ガン発症による影響の縮小、再発率を下げる効果などがあると述べた。

 続いて、中性子捕捉療法(BNCT)の説明が行われた。この治療法はバラバラになったガン細胞を殺すことができるというもの。しかし、現在はまだ臨床試験段階だという。会場スクリーンには実際の治療工程の写真が映し出され、首にガン細胞が浮き出た女性が3回のBNCT照射で、ほぼ通常の皮膚状態に改善されたという結果が紹介された。

 講演終了後には、石川理事長から講演者らに感謝状が贈られ、また、筑波大学側からは海苔と風呂敷がブラジル側に贈呈された。

2017年6月13日付

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