W杯がもたらす負の影響

観光・小売業「取り返しつかない損失」

 サッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕が目前に迫っている中、同大会がブラジルにもたらすであろう経済効果は非常に限定的で、逆にマイナスの影響が大きく膨らむだろうとの見方が広がっている。試合開催日が「休日」となることが小売業にどのような負の影響をもたらすのか? 旅行客の増加で大幅な増収が期待できると見られていた旅行・観光業は本当に好調なのか?

 ブラジルの小売業者らは同大会が商売に与えるマイナスの影響を懸念している。全国商業連合(CNC)がW杯2002年大会から実施している調査の結果は、同大会が実施される2カ月間の「限定的小売り」(varejo restrito、自動車及び建材を除く小売り)が通常年の同じ時期に比べて0.7%落ち込むことを示している。CNCのエコノミスト、ファビオ・ベンテス氏は、今年6、7月に開催されるW杯によってブラジル国内の限定的小売りは15億レアル(約675億円)の売り上げを失うと試算している。伯メディアが19日付で伝えた。

 W杯が開幕する6月12日はブラジルにおいては「恋人の日」とされている。多くの恋人や夫婦が互いにプレゼントを交換したりレストランで食事を楽しんだりすることで商業、とりわけ小売業や外食・サービス業において特需が期待できる日だ。しかし、今年はW杯開幕日ということでこの日を「休日」とする自治体や企業が多く、それによって消費者らの外出が鈍り、例年のような消費拡大が期待できないと見られている。

 開幕日だけでなく、地元で試合が行われる日やブラジル代表の試合がある日を休日扱いにする自治体・企業もある。サンパウロ州商業連盟(FecomercioSP)の経済顧問、アルタミロ・カルバーリョ氏はこれらの休日が小売業界に与える影響について試算した。「試合日が休日となった場合、それぞれの日の売上高は通常日に比べて少なくとも5%減少、約2億500万レアルを失うことになる。これは取り返しのつかない損失だ」と話している。

ビジネス需要減少で『スカスカ』=旅行・観光業界

W杯開催期間中及 びその前後には国内外の旅行者がブラジル中を飛び回り、旅行・観光関連産業は大いに潤うだろうと思いきや、実はその逆で、ブラジルの観光業界はW杯によっ て損失を被っているという。同日付伯字紙によると、ブラジル観光事業者協会(Braztoa)のマルコ・フェラズ会長は「レジャーもビジネスも、旅行・観 光業は全体的に落ち込んでいる」と話している。
例えばサンパウロ市。フェラズ氏によると、W杯開幕前20日以内の同市内ホテルの客室稼働率(予 約率)は36%と低迷している。同氏は「W杯の開催期間中、通常は様々な動きがあるサンパウロ市内の企業・団体関係のイベントは活気を失った。それに伴っ て非常に多くの場所が依然として利用可能な状態にある」と述べ、ビジネス需要が激減し、通常年には埋まっている客室や催事場の予約が現時点で『スカスカ』 な状態だと訴えている。

 フェラズ氏はさらに、試合観戦チケットの販売における国際サッカー連盟(FIFA)の対応もまた、旅行・ 観光業界に損失をもたらした要因の一つだと指摘する。同氏によると、FIFAがチケットの販売を自由化しなかったことで旅行・観光業者らは顧客に対してチ ケット付きパッケージツアーを提供することができなかった。「以前はパッケージツアーを購入した人は試合のチケットを手に入れることができた」とする同氏 は、それができなかったのは今回が初めてだ話している。

 当然のことながら、試合観戦のために国内を移動する機会を利用して各地を 周遊する人もいると思われるが、フェラズ氏によると、インターネットで今大会のチケットを購入したブラジル人らの『観戦旅行』の期間は、日帰りもしくはせ いぜい1泊2日程度だ。「彼らは15日間も周遊しない。我々は飛行機をチャーターすることもなければ、ホテルを押さえることも、観光のために現地のサービ スを利用することもない」というフェラズ氏の話しからは、W杯観戦客らは旅行・観光業界にとって『うまみがない旅行者』だと見られていることがうかがえ る。

2014年5月24日付

コメント0

コメントを書く

Login

Welcome! Login in to your account

Remember me Lost your password?

Lost Password